痔とは?良い悪い習慣/栄養/下痢の改善法

お役立ちコラム

痔(じ)とは

肛門には20種類以上の病気があり、肛門周辺に生じたものの総称が「痔」です。

三大痔疾病しっぺいとして、痔核じかく(いぼ痔)・裂肛れっこう(きれ痔)・痔瘻じろう(あな痔)があり、直腸脱や肛門周囲湿疹しっしんも痔に含まれます。

主に、便秘や下痢げりなどの「排便異常」で肛門の粘膜を痛めつけてしまうことが原因といわれています。

上記症状を予防・改善するためには、アメリカにも「下痢のABC」という言葉があるように、腸内環境や腸内細菌叢ちょうないさいきんそう(腸内フローラ)を整える習慣が大切です。

ただし、便秘には弛緩しかん性・直腸性・けいれん性、下痢には慢性(機能性・病気性)と急性(感染性・非感染性)などの種類があるため、その人の体質や体調にあった栄養摂取せっしゅが必要となります。

また、栄養・水分不足、運動不足、冷え性、睡眠不足、ストレスなど、生活習慣の見直しも痔の予防・改善につながります。

市販薬も多く販売されていますが、直腸がんや別の病気、痔の手術が必要な場合もあるため、自己判断ではなく気になったときは肛門科・肛門外科(近くに専門科がない場合は外科・消化器外科)で検査することをおすすめします。

🍀 よつばメモ 🍀

下痢(Diarrheaダィアリーア)のABCとは、整腸作用のあるりんご(Apple)・バナナ(Banana)・にんじんCarrotキャロット)の頭文字です。

 

🍀 よつばメモ 🍀

腸内細菌叢ちょうないさいきんそう(腸内フローラ)は、腸内にいる100種類以上・約100兆個の細菌が種類ごとに集まっている様子から”花畑に似ている”と名づけられたものです。

そのなかの「プロバイオティスク(乳酸菌・ビフィズス菌などの健康に好影響を与える微生物)」や「プレバイオティスク(オリゴ糖や食物繊維などの健康を改善する難消化性食品成分)」をバランス良く摂取するにより、便秘・下痢・過敏性腸症候群を改善する調整が行われます。

 

お尻の仕組み

胎児のときに、口の方から下がってきた「腸」とお尻からくぼんできた「皮膚」が1本の通り道となって肛門が形成され、血管・神経・伸縮性などが異なる2つの組織が接合しています。

この境界線を「歯状線」しじょうせんとよび、上側は粘膜部分、下側は皮膚部分に分かれ、肛門内には静脈叢じょうみゃくそう(毛細血管)や知覚神経もあります。

皮膚部分には知覚神経が多く通っているため、外痔核や裂肛(切れ痔)などは痛みを感じやすいです。

肛門の三大痔疾患

痔核(いぼ痔)

直腸の下側や肛門にある静脈を含めて、肛門を閉じる役割をするクッション部分がうっ血して膨らんだ状態を「痔核」、歯状線の内側にできるものを「内痔核」、外側にできるものを「外痔核」とよびます。

「内痔核」は、直腸や肛門部にうっ血したシコリができたもので、排便時の出血、悪化した場合は痛みや脱肛もあります。

「外痔核」は、肛門の外縁に血栓のシコリができたもので、痛みがあります。

進行すると、肛門の出入り口が腫れてえんどう豆ほどの血栓ができる「血栓性外痔核けっせんせいがいじかく(内痔核)」や痔核の中に多くの血栓ができて腫れる「嵌頓かんとん痔核じかく」などにもつながります。

 

🍀 よつばメモ 🍀

脱肛とは、内痔核が進行して飛び出してきた状態です。

 

内核痔の進行レベル目安

1度:痔核の脱出はない。痛みはないが、排便時に出血することが多い。

2度:排便時に脱出するが自然に戻る。出血と痛みがある。

3度:脱出したものを指で押し込む必要がある。出血と痛みがある。

4度:脱出したものを押し込めない状態。固くなって痛みや出血がなくなる。粘液が染み出て下着などが汚れる。

嵌頓かんとん痔核:無理な排便が原因で、内痔核が腫れあがって脱出したままの状態。血栓が多くできて、特別な状態の内痔核として肛門全体が腫れて強い痛みがある。

裂肛(きれ痔)

硬い排便などで肛門の皮膚が切れて出血した状態です。小さな腫れや痛みがあります。

進行すると、肛門の中にポリープや皮膚のたるみができる「肛門ポリープ(見張りいぼ)」や内痔核の腫れとともに肛門の穴が狭くなる「肛門狭窄きょうさく」などにもつながります。

痔瘻(あな痔)

肛門の内側の小さな穴に便などの細菌が侵入して膿ができる「肛門周囲膿傷こうもんしゅういのうよう」が慢性化して、肛門の中と外が瘻管ろうかん(トンネル状)に繋がった状態です。

腫れ・痛み・化膿が繰り返し起こります。

自然に治ることがないため、受診が必要です。

その他

肛門と直腸を支える筋肉の機能が低下して直腸がでてきた状態の「直腸粘膜脱(直腸脱)」、肛門周辺の皮膚がただれてかゆくなる「肛門周囲湿疹(肛門瘙痒そうよう)」、肛門を中心に小さいイボが沢山できる「尖圭せんけいコンジローマ」、皮膚の下に潜り込んだ毛に細菌が繁殖して膿が溜まった「毛巣瘻もうそうのう」など、さまざまな症状があります。

悪化しやすい習慣

  • 便秘
  • 下痢
  • 水分不足
  • アルコール
  • 添加物の多いインスタント食品や偏った食事
  •  動物性たんぱく質(動物性脂質)
  • カラシやコショウなどの香辛料(刺激物)
  • 身体を冷やす飲食物
  • 運動不足
  • 排便やスポーツなどの強い いきみ
  • お尻をゴシゴシと拭く、洗浄しすぎる
    ※皮膚を傷つける、皮膚常在菌まで洗い流す
  • お尻の余分な水分を放置する
    ※細菌の繁殖・かゆみ・炎症の原因
  • 重い荷物を持つ(力仕事)
  • 長時間の座り姿勢(立ち姿勢)
  • 腰や身体を冷やす
  • 睡眠不足、ストレス(自律神経の乱れ)

 

🍀 よつばメモ 🍀

ニンニク、タンニン成分の多い柿、牛乳、ヨーグルト、ココア、渋いお茶、赤ワインなど、体質や摂取量によって体調が悪化する食材もあるため、少し注意が必要です。

 

痔にやさしい習慣

  • 肛門の負担やうっ血の原因となるため、排便は5分以内を意識する
  • 直腸が便の水分を吸収して硬くなるため、排便を我慢しすぎない
  • 排便後の洗浄は、雑菌の繁殖・炎症を防ぐためにやさしく水分をふき取って清潔にする
  • 血行の良くするために、できればシャワーではなく入浴する
  • 肛門のうっ血などの予防で、体操やマッサージを行う
  • 腹筋を中心に、肛門の筋や正しい姿勢を意識しながら適度な運動を行う
  • 寝起きに1杯の常温水を飲んで腸を動かす。
    体質にもよるが、食事以外で1日1~1.5Lの水分補給を意識する
  • 消化器官の負担を考えて、1日3回(分食)、食べる時間帯を意識する。
    夜間よりも朝の方が便意が起こりやすい。
  • 便秘や下痢を引き起こさないように、食物繊維・乳酸菌(ビフィズス菌)・オレイン酸・オリゴ糖・マグネシウムなど、バランス良い食事を意識する
  • 食物繊維は、水溶性と不水溶性の食材をバランス良く摂取する
  • 主食は、麺やパンよりも米を選び、食物繊維が多い穀物系を加える

🍀 よつばメモ 🍀

おなかの運動には、入浴時や仰向け状態のときに、おなかの筋肉を上下に伸ばす、4本指(親指以外)でおへそ周りを”のの字(時計回り)”に30回ほど軽くゆっくりとマッサージする方法があります。

 

痔にやさしい食べ物

食物繊維

食物繊維には不溶性と水溶性の2種類があり、消化器官で発酵・分解されるとビフィズス菌(善玉菌)などが増加して腸内環境を整えます。

1日の成人摂取目安は、女性が18g以上、男性が21g以上です(70歳以上の場合は、女性が17g以上、男性が20以上)。

「不溶性」は、比較的にボソボソ・ザラザラした食感で、胃や腸で水分を吸収して大きく膨らみ、腸を刺激して蠕動ぜんどう運動(胃結腸反射)を活発化、便通を促進します(有害物質を体外に排出)。

「水溶性」は、比較的にネバネバ・サラサラした食感で、粘着性のある成分がゆっくりと消化器官を移動することで食べすぎを抑制します。また、糖質の吸収を緩やかにして、急激な血糖値の上昇を抑えます。水に溶けるとゼリー状になり、不溶性よりも発酵性が高めです。

主に不溶性の多い食物繊維食材

成分:ペクチン、セルロース、ヘミセルロース、イヌリン

穀物:ライ麦・玄米・雑穀・オートミール

成熟していない果物

果物:バナナ・りんご・ブルーベリー・柿・柑橘

干し果物:柿・イチジク・プルーン

野菜:ごぼう・にんじん・ゴマ・モロヘイヤ・オクラ・パセリ・アボカド・ブロッコリー・れんこん・さつまいも・じゃがいも

芋類:コンニャク・きくいも

豆類:大豆・枝豆・納豆

キノコ類:干しシイタケ・えのき・キクラゲ

主に水溶性の多い食物繊維食材

成分:ペクチン、βグルカン、アルギン酸、グルコマンナン

穀物:大麦・オーツ麦・オートミール・そば・ライ麦パン

成熟した果物

果物:バナナ・りんご・イチジク・キウイフルーツ

野菜:切り干し大根・おから・ごぼう・オクラ・モロヘイヤ・にんじん・ゴマ・キャベツ・大根・ニンニク・アボカド・ほうれん草・トマト・玉ねぎ

海藻:昆布・ワカメ

芋類:里芋・山芋(コンニャク)

豆類:大豆・そら豆・えんどう豆

キノコ類:なめこ

バランスの良い食物繊維食材

切り干し大根、ライ麦粉、オートミール、ごぼう、干しイチジク、納豆、モロヘイヤ、オクラなど

🍀 よつばメモ 🍀

コンニャクは約97%が水分でできています。原料の時点では水溶性ですが、食用に製造加工されたものは主成分のグルコマンナンが凝固剤(水酸化カルシウム)で不溶性に変化していることが多いです。

オレイン酸(不飽脂肪酸)

滑腸作用があり、便自体のすべりを良くして排便時の負担をやわらげる働きがあります。

動物性油脂よりも植物性油脂の食材に多く含まれており、胃や小腸で消化吸収されにくいため大腸まで届きやすいです。

食材:オリーブオイル、アボカド、ナッツなど

オリゴ糖

体内で消化・吸収されにくい難消化性の成分で、血糖値の上昇にもあまり影響を及ぼしません。

また、大腸に届いた後は、ビフィズス菌のエサとなり整腸をサポートします。

食材:はちみつ、甘酒、バナナ、発酵食品、玉ねぎ、ごぼう、ニンニク、アスパラガス、大豆、トウモロコシなど

乳酸菌

炭水化物などの糖を消費して乳酸をつくります。

また、腸内を酸性側に傾けて腐敗を抑制、腸の蠕動運動を改善します。

食材:ヨーグルト、チーズ、漬物、甘酒、納豆、醤油、味噌など

マグネシウム

約300種類の酵素を補助する成分で、骨や体内の代謝作用全般に関わっています。

食材:バナナ、ゴマ、ナッツ、切り干し大根、大豆、ほうれん草、魚、海藻、ひじき、ココアなど

下痢で水分が不足したとき

脱水予防として、OS1(オーエスワン)という経口補水液などを少しずつ摂取する方法があります。

身体を冷やさないようにして、消化の良い食材を無理のない範囲で摂取することも大切です。

締め付ける服、消化器官に負担のかかる刺激物・食物繊維・油分などは控え、状況に応じて受診すると安心できます。

参考文献

 

 

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